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 サイマル翻訳ブログ

株式会社サイマル・インターナショナルの翻訳スタッフによるブログ。
翻訳者の実務からコーディネーターのエピソードまで、サイマル翻訳にまつわる
トピックを扱います。
ベトナム語の翻訳
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    今回は、越→日の翻訳者の方にご執筆いただきました。英語などと比べると、ふだん見聞きすることが少ないベトナム語。翻訳事情はどうなっているのでしょうか。
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    ここ数年、ベトナム語の翻訳案件数はかなり増えてきており、内容もより多彩に、より専門的になっています。ベトナムと日本が、政治・経済・文化等多方面で活発な交流をしている表れでしょう。

    つい数年前まで、ベトナム語は数多くあるマイナー言語のひとつでした。ベトナム自体ほとんど注目されていませんでしたし、当然ながら翻訳者の数も案件数も限られたもので、企業からの発注は少なく、多くは政府機関等のものでした。様子が変わったのは、2005年を過ぎた頃からだったように感じています。ちょうどベトナム経済が大きく成長し、また外資への門戸も広がった頃です。

    私はその頃ベトナムで仕事をしていましたが、以前に比べ多様な業界のビジネスマンの方が多く日本から訪れるようになり、「ベトナムの市場はチャンスに溢れているというが本当か」、「今状況はどうなっているのか」等とよく聞かれるようになりました。もちろんそれまでもベトナムで働く日本人の方々はいたわけですが、ベトナム自体に関心を持っている人はそれ程多くなかったと言っていいと思います。ベトナムに工場や拠点があっても、お客さんは日系や外資系の場合が多く、ベトナム市場向けのビジネスはとても限られていたのです。

    そういった中で、ベトナム語を解する私は、もともと「物好き」「変わった人」という評価を受けていて、自分でもそう思っていたわけですが、2005年以降は「先見の明がある」「これから儲かりますよ」などと意外な褒められ方をするようになり、びっくりしたものです。

    さて、ベトナム語翻訳者とはどんな人たちなのでしょうか。翻訳技術を習得する学校などはないので、なんらかの理由でベトナム語・日本語の両方を習得した人が、そのまま何かの縁で仕事を受けているうちに語学で身を立てることになった、という場合がほとんどです。私のように日本語ネイティブの人間は少数で、大半がベトナム出身のベトナム語ネイティブです。留学等で日本での教育を受けた知的な人たちが多く、年齢も、1970年代のベトナム戦争前後に来日した人から若手まで幅広く活躍しています。以前は翻訳者の数も少なくほとんどが通訳業も兼務していたため、お互い顔なじみばかりでしたが、今はそれでは足りなくなり、その代わりにベトナム人留学生が参入してきています。

    ベトナム語は南と北で使う言葉に違いがありますが、書き言葉となるとそれ程大きな差はありません。むしろ翻訳者がベトナム語をいつ頃学んだかで、使用する表現に違いがあるように感じます。

    現代ベトナム語で教育を受けた世代が使うベトナム語は、1990年代以降にベトナム語を学んだ私にはわかりやすく、馴染みがあります。一方、その上の世代、1970年代前後に来日し現在ベテランの翻訳者として活躍している世代のベトナム語は、少し違います。上手な人たちは、昔からのベトナム語の豊富な蓄積を基盤に、現在使われているベトナム語も当然ながらフォローしていて、とても格調高い訳をされます。深いベトナム語と日本語への理解に裏打ちされていて、読んでいてとても勉強になります。私は日本語からベトナム語に翻訳された原稿の校閲を行うことが比較的多いのですが、同じ翻訳者として、表現の仕方等を校閲しながら勉強させてもらうことも多いです。

    H.O.
     
    | 翻訳者 | 09:57 | - | - |
    サインの翻訳
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      最近、サイン(標識や掲示)の翻訳のご依頼が増えています。2020年に開催される東京オリンピックの影響もあるかもしれません。街なかでも、外国語と併記されているサインはよく見かけますよね。

      サインの翻訳というと、短いから簡単そうだと思いませんか?実は結構いろいろな要素が絡んでいます。

      サインは、ぱっと見て意味が分かることが重要です。じっくり読むものではありませんし、表示スペースも限られます。ですから翻訳は簡潔にすることが必要です。長いと文字も小さくなり、見づらいし理解するのに時間がかかります。

      どのくらいの表示スペースがあるのか、そのサインがどこに設置されるのか、訳文はサイン全体のどこに表示されるのかも翻訳に関わります。そのため、ご依頼時にはお客様に設置予定場所の写真や、どこに翻訳を入れる予定か分かる参考資料を送っていただいたりします。

      また、翻訳文そのものだけでなく、レイアウトも重要です。先日、お客様から「日本語と英語と中国語と韓国語を並べて表示したいが、中国語は英語や韓国語に比べて文字が込み入っているため、フォントを大きくした方がいいだろうか」とご相談をいただきました。
      1言語だけフォントを大きくするのは見た目にも美しくないし、その差に意味を見出されてしまう恐れもあるので、そろえるようお勧めいたしました。ですが確かに、文字が太いと細かい文字はつぶれてしまいますから、見やすさに配慮したフォントを使う必要があります。

      ちょうどそのとき台湾にいた友人に、台湾のサインの写真を送ってほしいとお願いしました。

      バス停の写真です。ほんの一例ですが、日本語のバス停のイメージより、文字が細めだと思いませんか。

      翻訳は、字面を他の言語に置き換えるだけでなく、その文書の目的や読者の文化的背景を考えることが必要です。そして、使用用途によっては、どのようなフォントでどうレイアウトされるかも、読み手への伝わりやすさへ影響する大切な要素になります。

      そう思うと、目に入るいろいろなサインに興味がわいてきます。
      これからますます外国の方が増えるであろう東京のサインが、読み手にとって分かりやすいものになるよう、サイマルが少しでもお手伝いできたら嬉しいです。

      M.N.
       
      | サイマル社員より | 19:01 | - | - |
      大きな案件と小さな案件
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        お客様からお預かりする原稿のボリュームは大小さまざまです。翻訳者にとってのそれぞれの苦労ややりがいはどんなものなのでしょうか。今回は日英翻訳者の方にご執筆いただきました。
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        ひとくちに産業翻訳といっても、数百ページから数万ページにのぼる巨大な案件から、1〜2ページの小さな案件までさまざまです。

        大きな案件では、来る日も来る日も同じようなことを考え、そのうち夢にまで原文が出てきたりします。資料を買い込むので、対象分野の本に囲まれて過ごすようになります。大変ですが、長い間取り組むことでお客様の企業や分野への理解が深まるという確かな満足感があります。

        一方、小さな案件でも、資料を読み込む、内容について調べる、読者を想定するといった基本の作業は大型案件と同じく必要になります。原稿の分量に対する作業量は増えますが、日々新鮮な原稿に出会える喜びと、頭を切り換えるパズルのような楽しさは、大きな案件ではなかなか得られないものです。

        私にとっては、まとまった案件の合間に小さな案件を入れるのが絶好の気晴らしになっています。

        Y.F.
        | 翻訳者 | 11:01 | - | - |
        翻訳者に求められるものとは?
        0
          〜獨協大学シンポジウムでサイマルが講演〜

          12月4日(金)に獨協大学にて、外国語学部主催シンポジウム「翻訳の世界 ― 翻訳者をめざそう ― 」(リンク)が開催されました。翻訳に関心のある学生や、将来翻訳者を目指す学生に、翻訳実務を紹介することを目的に企画されました。サイマルは翻訳会社の立場から、産業翻訳の概況と、翻訳者に求められる資質や能力について講演させていただきました。フリーランス翻訳の魅力だけでなく、ビジネスとしての翻訳の難しさにも触れて、さまざまな視点から学生の皆さんに産業翻訳について知ってもらいたいと考えました。ここではその一部をご紹介します。

          ■求められる能力

          翻訳者もただ語学力があればよいというものではなく、求められる能力は市場ニーズの変化により少しずつ増えてきていると感じています。外国語力や日本語力、専門知識といった基本的に求められる能力の他に必要になるスキルとして、以下に焦点を当ててみました。

          ・パソコンスキル
          Microsoft Officeソフト(Word / Excel / PowerPoint)のスキルは当たり前になったと言っても過言ではありません。細かい運用力、とりわけレイアウト調整スキルがあるとさらに強みになります。なお「Trados」に代表される翻訳支援ツールのスキルは、すべての翻訳会社が求めるわけではありませんが、仕事の幅は確実に広くなり、強みになります。

          ・リサーチ力
          しっかりとしたリサーチに基づく翻訳は、翻訳会社(クライアント)の信頼につながります。限られた納期の中でネット検索を効率よく進めていくことも、翻訳者の重要な力と言えます。

          ・ビジネス常識(マナー)+サービス感覚
          納期を厳守する(後工程が控えていることを理解する)、必要に応じて翻訳会社と連絡・確認をとることなどが重要なポイントになります。

          ■フリーランスのメリット・デメリット

          多くの翻訳者がフリーランスで仕事をしています。私がフリーランス翻訳者の皆さんと日ごろやりとりする中で感じているメリット、デメリットをお話ししました。

          メリット
          ・自由に時間を使える
          ・仕事を選べる
          ・がんばった分だけ収入になる
          ・知的好奇心を満たせる
          ・自分のペースで一生続けられる

          デメリット
          ・収入が安定しない(繁閑の差が大きい)
          ・なんでも自分でやらなければならない(営業、経理、社会保険、パソコン保守、…)

          ■採用:こんなところが見られている!

          フリーランスといえども、企業への就職と変わらない部分も大きいのですが、応募してこられる方を見ていますと、以下の点で疑問符がつくことは少なくありません。

          ・ 応募時や面談時のマナー――第一印象が悪いとやはり後に影響します。
          ・ 書類の書き方(言葉遣い、体裁)――言葉遣いは言うに及ばず、異なるフォントを気にせず混用する、体裁が乱れているといった体裁面の問題も非常に重要です。翻訳の成果物も同様のクオリティなのではと想像してしまいます。
          ・ 試訳の出来――サイマルでは品質管理の一環と位置づけており、最も重要視しています。

          ■翻訳スキルを身につける方法

          翻訳者になるための方法として、当社のスクール「サイマル・アカデミー」の宣伝もさせていただき、いずれサイマルとのご縁ができることを願いながら、翻訳者をめざす皆さんへのエールで締めくくりました。

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          末筆ながら、今回このような機会を頂き、獨協大学の皆様にはこの場をお借りし、あらためて御礼申し上げます。普段学生の方に直接お話しする機会はなかなかないため、サイマルにとっても貴重な機会となりました。

          (S.F.)
           
          | サイマル社員より | 18:39 | - | - |
          カッコつけるのもほどほどに
          0
            今回は、題して「カッコつけるのもほどほどに」というお話です。
            まずはこの例文をご覧ください。

            サイマル・インターナショナルは「高品質」で「信頼」の翻訳サービスをお届けします。
            Simul International offers “high-quality” and “reliable” translation services.

            このような英文の書き方、日本では比較的よく目にします。ですが、実はここにちょっとした問題があります。さて、何だと思いますか?

            日本語では、強調したいキーワードをカギ括弧に入れることがよくあります。上の例では、高品質で信頼できるサービスを強くアピールするために、それぞれの言葉が括弧に入っています。しかし英語の場合、この括弧の部分を英語の記号である引用符に置き換えてしまうと、本来の意図とはまったく違うニュアンスを持つことになります。日本で見られる英文の特徴として、以前このブログで社名の大文字表記についてお話ししましたが、この引用符の使い方も、それと同じくらいよく見られる「日本的な英文」の特徴です。

            日本語では、主にカギ括弧を引用のほか、特別な用語に、周りの語句との区別に、そして強調に使います。一方、英語の場合は引用や特殊な用語のほか、一般的でない言い方で、その表現から自分は距離を置きたいというような場合に用いることが多く、強調で使われることはまずありません。

            日本語の「高品質」「信頼」を英語で “high-quality”、“reliable” と引用符に入れてしまうと、良さをアピールしたつもりが、逆に英語圏の人にとっては何か疑わしいもの、意味ありげなものに映ってしまうのです。つまり、「『高品質、信頼』と口では言っているけれど、果たして本当のところは……」という感じです。

            私たちが日ごろ英文を書くときに表記スタイルの参考にしている『The Chicago Manual of Style』(シカゴ大学出版局発行)では、引用時以外の引用符の使い方について、次のように記しています。

            7.55 “Scare quotes.” Quotation marks are often used to alert readers that a term is used in a nonstandard (or slang), ironic, or other special sense. Nicknamed scare quotes, they imply, “This is not my term” or “This is not how the term is usually applied.” Like any such device, scare quotes lose their force and irritate readers if overused.
            University of Chicago Press.  The Chicago Manual of Style. 16th ed.
            Chicago: University of Chicago Press, 2010.

            訳:引用符は、ある用語が非標準的(または俗語的)であったり、皮肉を含んでいたりなど、特別な意味合いを持つことを読者に示すためによく使われる。「scare quotes」(スケア・クオート)という通称があるこの用法は、「これは自分が使っている用語ではない」「この用語は普通はこのような使われ方はしない」ということを暗に伝えている。類似の用法と同じく、多用は効果を弱め、読者にとっては目障りとなる。

            私が今から数十年前、サイマル・アカデミーの日英翻訳コース(現在は産業翻訳コース日英)で勉強していたときの教材にも、次のようなことが書かれていました。

            Use quotation marks with care!
            In English, the author uses quotation marks primarily for two purposes: to indicate the exact words of an identifiable person and to indicate that the author wishes to distance himself from a word or phrase.
             
            訳:引用符の使い方に注意!
            英語の著者は、引用符を主に次の2つの目的で使用する。すなわち、特定できる人物の言葉そのものであることを示すため、そして、ある単語や語句から自分が距離を置きたいと考えていることを示すためである。

            このように、引用符というのはまさに引用するときに、特別な用語に、そしてある単語や語句がそのものの意味ではないときに用いるものです。日本では、さまざまな出版物で強調に引用符が使われ、意図しないニュアンスを与える結果となっています。日本語の括弧書き部分を英語に訳す際は、内容をよく考えて引用符を使用するかどうかを判断し、単純に置き換えることだけは避けたいものです。

            ということで、冒頭にお見せした例文、英語では
            Simul International offers high-quality and reliable translation services.
            と、引用符なしでもニュアンスは十分に通じます。

            ちなみに、英語での強調の仕方として単語や語句をイタリック体(斜体)で表記するというのがあります。ただ、それもあまり使いすぎると効果がありません。英文では、たとえば強調したい部分を文の最後に持ってくるなど、文章の作り方で強調的な意味合いを出すことができます。強調部分をイタリックにしようとする場合も、本当に効果的かどうかを考えることが大事です。


            M.T.
            | 翻訳者 | 19:16 | - | - |
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